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3次元・2次元の推しの話から日常の話まで

映画『若おかみは小学生!』において埋もれない真月というライバルの魅力

映画『若おかみは小学生!』を観てきた。
結論から言うと、すごく良かった。
観に行って本当に良かった。
 
9月21日の公開の少し後にTwitterのフォロワーの一人が絶賛しているのを見かけて気になってはいたのだが、ここ最近タイムライン上に作品について評価する旨のツイートのリツイートがにわかに増えてきたので、これはいよいよ気になると鑑賞を決めた。
 
前評判通り、本当に丁寧な作画が美しく見惚れてしまうアニメーション作品だった。
Twitterで見たツイートで評価されていた、卵焼きを切った包丁に映る卵焼きの描き込みはもちろん、電車の窓に映る反対側の窓の中に映る人物の描き込み、顔に落ちる眼鏡の陰や眼鏡のレンズ越しの顔の輪郭のずれ、厨房の作業台や磨いた廊下、温泉周りの床への人物の映り込み等、本当に作画への力の入れ方が半端でなく、アニメの本気を観たと思った。
 
作品の大きな魅力である作画の美しさに魅了され見惚れているうちに話が進んでいくのだが、作画の良さに負けず劣らずストーリーの内容も魅力的だった。
 
祖母が女将を務める旅館で主人公・おっこが若おかみとして成長していく様を描くこの作品。
作品冒頭でおっこの置かれる状況ーーおっこに突きつけられる現実は、小学生が向き合うにはかなり重い。
おっこが時折見る幻なのか夢なのか、彼女が自分に言い聞かせる世界は、現実に背を向けて逃げているというよりは、上手いこと現実を直視せず自分を保って過ごす術のように感じた。
そして若おかみとして様々な人と出会い成長を重ねたおっこにも、改めて現実と向き合う時が来る。
成長したおっことは言え、簡単に乗り越えられるものではないはずだが、その機微を、繊細な部分をよく描いていたと思う。
おっこの姿にうるっと来る箇所は何度かあったが、クライマックスでは本当にボロボロ泣いてしまった。
 
これは以前から子供向け作品について思っていることなのだが、大人が子供に向けて真剣に作った作品というのは、大人の心をも動かすものだと思う。
 
おっこが魅力的な人物だったことは言うまでもないのだが、私は主人公のライバルポジションにいる秋野真月にも心を動かされた。
 

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作中舞台の温泉街一番の大旅館の跡取り娘でプライドの高いキャラクターとして描かれている真月。
そのプライドの高さから普通であることを嫌い、いつもピンク色のふりふりした派手な服を身にまとっていることから、クラスメイトには陰で「ピンふり」と呼ばれ浮いてしまっている。
 
第一印象は、小学生を主人公とする作品に一人は登場しがちな高飛車キャラといったものだった。
 
しかし、真月の家の旅館スタッフ達が飾り付けた大きな鯉のぼりの紐が外れて飛ばされてしまった際の真月の第一声により、私の中で彼女の好感度が大きく跳ね上がる。
「人に当たったら大変!」
台詞は正確ではないかもしれないが、そんな内容の台詞が、果たして並みの小学生の口から咄嗟に出るだろうか。
話が進むにつれ、真月という子には小学生ながらかなりのプロ精神が備わっていると感じた。
そしてそれが彼女の魅力でもあると。
 
また、初登場時こそクラスから浮いた存在であるように思われた真月だが、話が進む中で本人が努力家であるというのはクラスメイトも認めるところであることがわかった。
クラスに溶け込んでいるとは言えないものの真月という人物が全く理解されていないのではないのだと嬉しく思った。
 
このように、私は秋野真月という人物に主人公の引き立て役にとどまらない魅力を感じた。
おっこにはおっこの、真月には真月の魅力がある。
まさに好敵手と書いてライバルといったところか。
 
多くの魅力が詰まった『若おかみは小学生!』という映画。
Twitterでの評判を見ていなかったら観に行くことはなかったかもしれない。
こういうことがあるからTwitterは辞められない。