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LDH pictures配給映画『たたら侍』で描かれる夢の末路

もう一月ほど前になるが、映画『たたら侍』についての記事を書いた。


mmr-ns.hatenablog.com


この作品は私にとって思い入れのある作品である一方で、一人の出演者の不祥事によりオリジナル版の上映終了・再編集しての再上映を余儀なくされた作品である為に、どうしてもこの作品を語る際にはいつも問題のキャストについての恨みつらみを重ねてしまう。
あの俳優のことだけは一生許せないというツイートを今まで何度したかわからない。

たたら侍』という作品について考える時、そんな恨みつらみを、推しのかっこよさだったり作品関係の良いことで相殺するということを毎度毎度繰り返していたので、最近になって初めて作品についてふと浮かんだ考えがある。
先日投稿した記事を書き出してから仕上げるまでに何日かかけたのだが、その間に思いついたことだ。
(この記事も、先日の記事を書いた直後に書き出したものの他に書きたい記事などが割り込み、書き上げるまでにだいぶかかってしまった)
上映開始から一年半以上経って初めて浮かんだ考えに、いつも本当に恨みつらみの相殺で手一杯で他に頭が回らなかったのだなと驚かされる。


と言っても別に何か壮大なことを思いついたわけではない。
(この先、『たたら侍』のネタバレになる内容が若干含まれるのでこれから観る予定のある方はご注意ください)

株式会社LDH JAPANのグループ会社である映画配給会社・株式会社LDH picturesの配給レーベル「LDH PICTURES」から出された映画『たたら侍』で描かれる夢の末路があれというのがすごいな、とふと思ったのだ。
(※LDHという社名はLOVE, DREAM, HAPPINESSの頭文字から取ったもの)

固有名詞をふんだんに使いすぎたので、作品の結末含めわかりやすく言い直すと、「LOVE, DREAM, HAPPINESS」を掲げる会社が作った映画が、主人公が夢を追って周りの人に迷惑をかけまくった末に結局夢は叶わないストーリーだというのがすごいな、ということだ。


しかし、そもそもLDH picturesは配給会社に過ぎず、『たたら侍』の脚本を書いている錦織良成監督はLDH所属というわけではない。
それにLDH picturesとて、手掛ける作品のストーリーが全て愛に溢れていて夢を叶えて幸せな結末を迎えるというわけでもない。
LDHの姿勢としては、夢が叶う内容の作品を作るというよりは、LDHが作る作品を通して誰かの夢を叶えるという姿勢なのだと思う。

LDH picturesは、今までのLDHとは違う多くの挑戦ができる場所として、クリエイターやキャストの皆様の映画への夢やアイデアを全力でサポートさせていただきます。

LDH pictures|会社案内

現に『たたら侍』は私の推し・小林直己(以下、直己)にとっては映画デビュー作となったし、私にとっては初めて直己を生で見ることが叶ったのが同作品の舞台挨拶だ。


それにしても『たたら侍』の主人公・伍介の周りへの迷惑かけっぷりは本当にすごい。
伍介が夢を追いかけた結果、伍介の身近な人が命を落とす。
現代だったら夢を追うことで周りに迷惑をかけることはあっても、人死にまではそうそう出ないだろう。
しかし時代が時代なので『たたら侍』では人が死ぬ。

伍介の侍になりたいという夢は、村を守る為の強さを求めた故のものなので、完全に自分勝手な夢で周りに迷惑をかけたとも言い切れない。
しかし、手段を間違えてしまった結果、村を守るどころか危険に晒してしまう。


ただ、この伍介の迷惑かけっぷりがなかったら、『たたら侍』はストーリー映画になり得なかったとも私は思っている。

伍介が侍になるという夢を持たず、たたら吹きを仕切る村下の家に生まれた者として、村を出ることもなく村下を継ぐ為に過ごす日々を撮ったら、それはストーリー映画というよりドキュメンタリー映画のようなものになると思う。
NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」のようなものが出来るのではないだろうか。

伍介が侍を目指す場合でも「プロジェクトX 〜挑戦者たち〜」のようなドキュメンタリーになるのではという気はする。
しかしこの場合、伍介の前に困難が立ちはだかるというよりは伍介が思う道に進んだ結果周りに迷惑をかけまくる展開の末に夢が叶わない結末となるので、それではエンディングに流れる中島みゆきの『ヘッドライト・テールライト』があまりにも悲しい。

しかしよくよく聞いてみると『ヘッドライト・テールライト』の歌詞が『たたら侍』のストーリーとなかなか親和性がある気もしてきてしまった。
伍介を追うプロジェクトX、なしではないか……。

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話が逸れたが、LDHの携わった作品の内容がこれというのはすごいなとふと思ったわけだ。

ライブで「皆さんの夢が叶いますように!」というボーカルの掛け声と共に金テープを噴出させるLDHが。
主人公が夢を追うことで周りに迷惑をかけまくって身近な人の死まで招いてしまったものの結局夢は叶わないという映画を世に出している。

なんだかすごいなと、ふと思った。
それだけの話。